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大村のT-House

2018年9月18日

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写真:宮崎富嗣成 https://contrast.st

 

 

大村湾を望む絶景の敷地に建つ住宅である。

 

 

■大村湾

大村湾は、長崎県の中央部に位置する321㎢ほどの海である。長崎は、島の数と海岸線が日本一で、県内のどこからでも15㎞以内に必ず海岸線があるという親水性が高い地域だが、このことに大村湾が果たす役割は大きい。外海との繋がりは狭い瀬戸2ヶ所のみで、極めて閉鎖的な水域である。この閉鎖性が、対岸との独特の距離感や湖のような穏やかな水面、気候を生み出していて、大村湾をとりまく地域はどこも個性的で魅力的である。

 

■クライアント

大村湾に接する街で生まれ育ったクライアントは、大村湾を眺めて暮らすための場所を探し、この土地と巡り合った。ご自分の事業をさらに発展させるために、自分のルーツの一つである大村湾を眺めながら、多忙を極める日々の癒しと、さらなる活力を得る場となる住宅を強く望まれていた。

 

■敷地

敷地は、多良岳の山裾を走る長崎自動車道からさらに山側にある。眼下には大村市街や長崎空港、そしてはるか対岸まで見渡せる大村湾が広がる。まさに、クライアントが望む条件を兼ね備えている。

 

 

■テーマと建築の構成

本計画は、多良岳から大村湾に向かう傾斜地というこの強い敷地の力を最大限に生かし、大村湾とクライアントの暮らしをどれだけ強く、そして有機的に繋げることができるか、ということが主要なテーマとなった。

周辺の住宅群や道路からの視線に対して緩やかに閉ざしつつ、大村湾に向けては大胆に開くという調整を行うために、平面的に「コ型」もしくは「L型」に折った垂直要素を縦方向に重ねた。それらの立面的重なりに対し、5枚の水平要素(スラブ)を挿入するというシンプルな構成で、環境に呼応した空間の基本骨格を生み出した。

 

明快な空間生成プロセスによる強い全体性があるが、同時に多様な空間が生まれ、暮らしにおいて大村湾との関係性をより豊かなものにしている。

 

 

■各階の構成

1階は、大村湾に向かって緩やかに下る傾斜と呼応し、1mほどの差で2つのレベルに分けられている。接地性と浮遊感がほどよく共存する空間が生まれ、敷地内の樹木越しに大村湾を望む。

2階は、大村湾に向かう滑走路のように設置された床と、それに対し直交方向に振られ0.6mほど上がった床で構成されている。前者の床は1/3ほどが内部で残りは外部となる。この床は内外を貫きつつも、同一素材同一レベルで徹底されている。また内外を隔てる開口部も極力大きくシンプルなディテールである。そのため内部にいても、この床を伝うように意識が大村湾に向かって伸びていく。

3階は、大村湾と大村市街全域を見渡せる高さの特性を最大限生かすために、空間を極力小さくし、開口部を最大限大きくした。眺める側のスケールを極力絞り込むことで、相対的に大村湾の雄大さがより際立つようにした。

 

 

■最後に

 

クライアントとそのご家族は、日々の暮らしの中でこれらの空間を行き来しながら、大村湾との繋がりをより強めて豊かな人生を送ることができると確信している。 建築の計画において常々、場所の力を活かしながら、そこに住まう人の精神を開放できるかということを大切にしている。このプロジェクトは、圧倒的な場所の力と、建築が持つ力を信じるクライアントの高い意識により、これまで以上に高いレベルで我々が考える建築への思いを実現できた。

 

 

 

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